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ES細胞から分化誘導したAVP産生ニューロン培養系におけるRab3a関連蛋白のAVP分泌への関与の検討

清田 篤志1), 椙村 益久1), 竹内 誠治1), 泉田 久和1), 落合 啓史1), 藤沢 治樹1),高木 博史1), 福岡 一貴1), 須賀 英隆1), 渡辺 崇2), 長崎 弘3), 有馬 寛1), 大磯 ユタカ1)

1)名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科学
2)名古屋大学大学院医学系研究科 神経情報薬理学
3)藤田保健衛生大学 生理学T

【目的】
低分子G蛋白質であるRab3aはエフェクター蛋白、SNARE蛋白と協調して分泌小胞の開口放出への関与が報告されているが、AVP分泌における調節機序は明らかでない。近年、ES細胞を分散後再凝集させ成長因子を含まない培地を用いて無血清浮遊培養を行うとバゾプレシン(AVP)産生ニューロンを含む視床下部背側の前駆細胞に分化誘導できる事が報告された(SFEBq/gfCDM法)。本研究ではSFEBq/gfCDM法を用いたAVP産生ニューロン培養系においてRab3a関連蛋白のAVP分泌への関与を検討した。

【方法】
1) SFEBq/gfCDM法で得られたaggregateを用いて蛋白発現を検討した。KCl、mannitol刺激後の培地中AVP濃度をRIA法で測定した。KCl刺激前後で二重免疫組織化学を施行し、細胞内分布に対する影響を共焦点蛍光顕微鏡で検討した。
2) Aggregateを分散した平面培養系でrabphilin siRNAを導入しAVP分泌への影響を検討した。プルダウンアッセイにより蛋白相互作用を検討した。

【結果】
1) ImmunoblotでRab3a、Rab3aのエフェクター蛋白のrabphilin3a、及びt-SNARE蛋白であるSNAP25の発現を認めた。KCl、mannitol刺激によりAVP分泌は亢進した。
二重免疫組織化学でrabphilin3aは定常状態ではcopeptinと形質膜近傍で共局在を認め、KCl刺激後にはcopeptinと共に形質膜へ局在が移動した。
2) rabphilin3a siRNAを導入するとKCl刺激によるAVP分泌増強を抑制した。
またAVP遺伝子のC末にEGFPを融合させたプラスミドを導入しAVP小胞を可視化するタイムラプスイメージングシステムの構築に成功した。

【考察】
ES細胞から分化誘導したAVP産生ニューロン培養系においてRab3a、rabphilin3a、SNAP25が蛋白複合体を形成してAVP分泌へ関与する可能性が示された。本培養系において全反射蛍光顕微鏡(TIRF)によってAVP小胞の開口放出の可視化が可能となり、AVP分泌機構の解明に有用なシステムになる事が期待される。