海外研究室便り No.15
私は2014年4月から、日本学術振興会 海外特別研究員として、米国ニューオーリンズのTulane University, Department of Cell and Molecular Biologyに留学しています。同講座の教授であり、Tulane University, Neuroscience ProgramのChiefも務めるDr. Jeffrey Taskerは、脳視床下部の神経内分泌細胞を用いた電気生理学分野における世界的先駆者の一人です。教室には電気生理実験システムが豊富に設置されており、多くの研究者や学生により、日々活気ある研究が推進されています
ニューオーリンズは米国屈指の観光都市であり、緑あふれる優雅なアップタウンと、いつも賑やかなダウンタウンを中心に、数多くの観光名所を有しています。休みの時は、この国際色豊かな街を存分に満喫することが出来ます。アップタウンとダウンタウン双方にキャンパスを構えるTulane Universityは、有村章博士を中心とする日本人研究者達のご活躍により、下垂体前葉から抽出したLH-RHの構造と活性が見出され、Dr. Schallyのノーベル医学・生理学賞受賞に直結したことでも知られています。有村博士はその後、日米協力生物医学研究所を設立し、多くの日本人研究者をTulane Universityに招いて神経科学の発展に寄与しました。このためTulane Universityは、日本人研究者にとって非常に馴染み深い大学と言えます。私はこの地で、「視床下部バゾプレッシン産生細胞のストレス応答と機能変化を、分子レベルで解明する」というテーマを通じ、成功する喜びや失敗する悔しさを味わいながら、充実した研究生活を送っています。
科学者は、自ら独創性を持ち、周囲の多様性を認めることが要求されます。留学は、決意した時点からこの価値観を得る絶好の機会なのではないかと考えます。一人でも多くの日本人研究者が、海外留学を経験されることを願ってやみません。
(写真:右がDr. Tasker、左が筆者)
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