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海外研究室便り No.3

2004年4月より, Division of Endocrinology and Metabolism, Department of Medicine, Georgetown University Medical Centerに留学しています。大学はその名のとおりワシントンDCのGeorgetown という町にあり、大学付近はフランス大使館が道路をはさんですぐ隣にあるというような、とてもきれいで環境の良いところです。ラボのChiefはDr. Joseph G. Verbalisです。Dr. Verbalisは、かの有名なWilliams Textbook of ENDOCRINOLOGY (Tenth Edition) のPosterior Pituitary Glandの部のcontributorであり、また今年6月のHYPONATREMIA2005 symposiumで一日中、座長をつとめられたことは記憶に新しいと思います。さて当研究室の研究内容ですが、従来、SIADHの動物モデルを用い、低Na血症へのadaptationのメカニズムにおけるCNSと腎臓の役割についての研究で多くの業績を挙げています。現在も水・電解質代謝異常の病態について様々な研究をしており、学内の他のラボやNIHのラボなどとのコラボレーションも盛んです。私はまだこれといってまとまった仕事はないのですが、動物モデルのバゾプレシンやオキシトシンなどのホルモンの測定をしたり、腎臓でのVasopressin V2 receptor や aquaporin などの発現をウェスタンブロットで調べたり、また細胞培養を用いた実験などもしています。また臨床的研究ではマラソンランナーの低Na血症の解析をしています。Exercise associated hyponatremia (EAH) という概念をご存知の方はまだあまり多くはないと思いますが、その発症頻度は近年増加しており、Dr. Verbalisはその発症のメカニズムのひとつとして a variant of SIADHと指摘しています。EAHの患者が救急外来へ運ばれてくる可能性もあり、治療なども含めEAHの研究も重要かと思われます。このように基礎的、臨床的な研究に従事し、充実した研究生活を送っています。簡単ですが、これで教室紹介とさせていただきます。(写真は中央がDr. Ying Tianで直接実験方法などを教えてもらっています。右がDr. Verbalis、左が私。)

椙村益久 名古屋大学大学院医学系研究科