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海外研究室便り No.13

 2012年7月よりアメリカ合衆国アナーバー市にあるミシガン大学に留学しております。Division of Metabolism, Endocrinology & Diabetesのchief及びMichigan Comprehensive Diabetes Centerのdirectorを兼務するPeter Arvan教授の研究室が私の所属先です。
 Arvan研究室はサイログロブリンやインスリン等の分泌蛋白を対象とし、そのfoldingやtargeting異常に関して多くの業績があります。現在は、research investigator 1名、laboratory supervisor 1名、私を含めたpostdoctoral fellow 4名、technician 1名で構成されており、サイログロブリングループとインスリングループとに分かれていますが、互いに情報や技術を共有して研究を進めています。私が所属するサイログロブリングループは近年、甲状腺機能低下症と甲状腺腫を来すサイログロブリン遺伝子変異であるcog (congenital hypothyroidism) 変異と、甲状腺機能低下症と甲状腺萎縮を来すrdw (rat dwarf) 変異に注目して研究を展開しています。
 私の研究テーマは、これらの変異サイログロブリンが小胞体内に貯留して同様にストレス反応を惹起しながら、rdw変異のみが細胞を死滅させるメカニズムを解析することです。渡米前は名古屋大学において大磯教授、有馬准教授のご指導の下、変異バゾプレシン前駆体による小胞体ストレスを特徴とした家族性中枢性尿崩症モデルマウスを研究対象としておりましたので、この変異サイログロブリンプロジェクトは、これまでの経験を活用でき、また新たな視点も得られる大変興味深いものだと感じています。
 アナーバー市はミシガン大学のキャンパスが中心となった活気あふれる学園都市です。海外からの留学生も多く、国際交流も大変盛んです。人口11万人程度と小さいながら、大学が大きな雇用を創出しているため治安が良く、別名「Tree Town」と呼ばれるほど自然も豊かで、とても住みやすい街です。

(写真:ラボにて。右がPeter Arvan教授、中央が筆者です。)


森下 啓明(名古屋大学医学部 糖尿病・内分泌内科学)