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海外研究室便り No.14

 現在、Harvard Medical School, Massachusetts General Hospital, Program in Membrane BiologyのDennis Brown先生のラボで2012年5月より研究をおこなっています。 ここのラボには腎臓、精巣上体、鉄代謝の3つの研究グループがあり、Brown先生はアクアポリン2水チャネル、V-ATPaseを中心として、腎臓に置ける水分調整、酸塩基バランスを主な研究テーマとしております。 腎臓グループには現在9人のポスドクと3人のPIが所属しています。ポスドクの入れ代わりは非常に激しく2年程度で他のラボに移る方が多く、現在私は2番目に古いポスドクになってしまいました。必然的に新しく来たポスドクにラボのことを教える機会も多くなり、それもまた自分の勉強と考えています。研究内容は昨年のアメリカ腎臓学会(ASN)で発表する機会があり、論文投稿中であります。自分の仕事がきちんと論文になることを願っています。
 ラボはアメリカ北東部のボストンにあります。昨年のボストンは非常に大きな事件がありました。春のボストンマラソンの爆破テロ事件、それに続く容疑者と警官の銃撃、このとき市民は一切の外出禁止となり、テレビを見ながら経過を見守るという状態でした。秋にはボストン・レッドソックスがワールドシリーズを制覇し、優勝パレードもあり非常に盛り上がりました。日本人のUehara, Tazawa投手が活躍したということもあり、注目度も高かったのではないでしょうか。
 海外留学では、日本ではなかなか経験できないようなこともいろいろあり、非常に充実した体験だと思います 。多くの基礎の研究室はアメリカの外から来ているポスドクが多く、非常に国際色豊かです。一方、日本人間の交流も非常に貴重なことだと思っています。日本にいると自分のラボと職場の狭いところでの交流が主でしたが、ここではいろいろな大学から来た方とお知り合いになる機会がたくさんありました。自分は腎臓内科であり、ボストンにいる腎臓関係の研究をしている方との交流を持つことができましたし、他の科を専門としている方、医者以外のPhDの方、製薬会社から来ている方、さらには研究者以外にも現地企業で働く方、MBAで企業から大学に勉強に来ている方、司法関係の方などいろんな人と話す機会があり、私にとっては非常に興味深いものでした。
 もちろん慣れない海外生活と英語のコミュニケーションの問題、文化の違い、収入減少、出費増加、臨床医としての経験不足などいろいろ留学のディスアドバンテージはあると思います。しかし、すべて前向きにとらえてこれらのことも糧にして今後の自分のキャリアに生かして行きたいと思います。
 最後に留学の機会を与えていただきました東京医科歯科大学腎臓内科の佐々木教授には深く感謝申し上げます。

(写真:2列目右から2番目チェックのシャツがDennis Brown教授、3列目左から3番目紫のシャツが筆者です。)


野村 尚弘(東京医科歯科大学腎臓内科学)